病気のことが知りたい方へ

当院では、病院を「患者様が健康的な生活を維持するための一つの手段」と位置づけ、
当院は地域生活を継続するための存在と考えています。
正確な診断を基準に、患者様と手を携えて治療を進める『パートナーシップ医療』を大切にしています。

眠れない(睡眠障害)

「夜寝付けない」「朝早く目が覚める」「寝た気がしない」など不眠はとてもつらい症状です。
更に、十分な眠りが確保できないことによって、集中力・記憶力・思考力が低下したり、気分や情動が不安定に陥ることがあります。

不眠の原因は様々で、病気でなくてもショックな出来事や強いストレスを感じたときなどに不眠になることがあります。
またうつ病や神経症などのこころの病気やホルモンのバランスが崩れるなどのからだの病気でも不眠というかたちで症状が出始めることもあります。

そのなかでもストレスは様々な病気に発展していく可能性を持っています。
ヒトはストレスがあると眠気を感じるのですが、いざ眠ろうとすると「眠りが浅い、熟眠感がない」ということになり、更にストレスが増え、心も身体も休まらずにそのひずみが「病気」という形で表れることがあります。

また睡眠は、単に眠れば良いというものではなく、その質も重要です。
脳は日中膨大な量の情報を処理していますので、夜に充分に休ませないとオーバーヒートを起こしてしまいます。そのためにも「良い眠り」が大切になります。
睡眠には浅い眠りと深い眠りがあり、これが交互に繰り返されて、脳も身体も休養が取れるのです。

特に深い眠りは脳にとって重要で、睡眠時間が短くても眠りが深ければ「たっぷり寝た」という実感が得られやすくなります。

ですから単に睡眠薬を服用して眠れればよいという問題ではなく、不眠の原因をしっかりと見極め、
眠りの質を改善するように適切な処置をすることが大切です。

気分が落ち込む(うつ状態)

新聞や雑誌・テレビで「うつ」という言葉を目にしない・聴かない日は無いというほど身近になってきたように思われますし、日本人の5人に一人は一生のうちで一度はうつ病を体験するとも言われる時代ですが、まだまだ知られていない事も多くあります。

気分が落ち込む・もの悲しい・やる気が出ない…などは比較的分かりやすい症状ですが、頭痛・微熱・耳鳴り・めまい・動悸・肩こり・性欲減退・月経不順 などの身体的な症状から始まり、次第に気分の落ち込みが目立ってくることもあります。

また未だに「甘えているだけ、気合いを入れろ!」等の精神論で片付けようとする人が多いのも事実で、そのために本人も病気だと気づかなかったり、気がついても「精神科」というものに対する心理的な抵抗感あり早期治療のタイミングを逸してしまうことも多くあります。

年間の自殺者数が3万人を超え、その多くが精神疾患を抱えていたという報告がなされて社会的な問題になっていますが、実際には表面には出にくい「軽度の抑うつ状態」の方も多くなっています。

そのような方は、食欲減退かまたは過食、良く眠れない不眠か、寝すぎてしまう過眠、気力の低下、または疲労、集中力の低下などといった、一般的には「ストレス」という言葉で片付けられてしまっていても、実際には「軽症うつ病」という方も少なくありません。

単なる「気分の落ち込み」と「うつ病」を見分ける目安としては

  1. 「気分の落ち込み」やそれによる不調が2週間以上続く。
  2. 仕事や日常生活に支障がある。
  3. 身体にいろいろな症状がでるが、検査を受けても原因はわからない。

があります。

うつ病は「病気」です。
脳の神経伝達物質が正常に運ばれないことために生じるのもですから「気合い」では回復しようがありません。

胃酸の出が悪くて消化不良を起こしていると考えればわかりやすいでしょう。
そのときには食事を止めて、胃酸の出を良くする薬を飲んで、休養します。

これと同じように、うつ病の治療も、薬物療法、休養、環境調整、精神療法などを一人一人の症状に合わせて行いますが、治療は良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に回復していきますので、それなりの時間がかかりますが焦りは禁物です。

「必ず良くなる」ということを忘れずに!

不安でならない(不安障害)

私たちの身の回りには、将来のこと、金銭のこと、人間関係のこと、仕事のこと、自分のこと、病気や老化のことなど、悩みや心配ごとは数限りなくあり、これらが精神的ストレスとなり、「不安」を引き起こしますが、基本的には「その危機に対して心の準備をするための体の防御反応」であり正常な反応なのです。

もう少し詳しく説明します。

ヒトは何か重大な危険に遭遇した時はその場から逃げるか、それともその危険の元と対決するかという「闘争・逃走反応」という自律神経の働きがあります。

不安や恐怖に襲われると、体内からアドレナリンが分泌され、呼吸が速くなり、心拍数は増し、汗が噴き出して「戦うか逃げるか」という行動を起こす準備をします。

不安や恐怖の感情で問題となるのは、それらがその場の状況に相応しくないほど強くなってしまう場合がある事です。

動悸・発汗・下痢・腹痛などの症状が不適切な状況下で生じたり、頻繁に生じる場合、あるいは日常生活に支障を来すほど不安が強く長く続く場合には、不安障害とみなされます。

不安障害には「危ない!」と感じる恐怖症、「もしかすると」と感じる全般性不安障害、「大変だ!」と感じるパニック障害、「何か足りない」と感じる強迫性障害、「きっとまた起こる」と感じる外傷後ストレス障害(PTSD)、などがあります。

治療は、薬物治療と精神療法を併用して行われ、治療期間は、個人によってさまざまですが、全般的に予後はよいとされています。

現実と非現実の区別があいまい(統合失調症)

普段の生活の中で、現実と非現実の区別が曖昧になることは、「寝ぼけ」や「空耳」といった体験であれば、多くの人が経験していることと思います。
本来そこにないはずのものが見えたり、聞こえないはずの声が聞こえるだけでは、病気とは言えませんが、これら状態が頻繁に起こったり、本当でない事を真実だと固く信じてしまう程であれば日常生活に何らかの支障が出てくると思われます。
「誰かに監視されている・操られている」「みんなが悪口を言っている」と思い込み、思考が混乱してしまい、「意味不明な会話をする」「落ち着きのない行動をとる」「怒りっぽくなる」といった症状が表れて初めて周囲の人が気づくこともありますが、そんな状態から逃れようと、引きこもって、人を避けようとすることもあります。

このような症状が出る病気としては「統合失調症」がその代表です。
「統合失調症」といっても、タイプによって症状が違い、陽性症状(これまで無かったものが出現する)を主とする場合は「幻覚や幻聴が頻繁に起こり、『自宅に盗聴器がしかけられている』」などのような、被害妄想的な症状が出やすくなります。
一方、陰性症状(これまであったものが無くなる)を主とする場合は、「根気や集中力が続かない」「意欲がわかない」といった症状などから、気がつくと引きこもり生活に陥っていたということも多々あります。
もう一つ、認知障害を主とした場合は、集中力、記憶力、問題解決能力などに問題が生じ、他人の話を聞いても、話の内容は理解できないという状態になることもあります。

統合失調症は、突然発症することもあれば、数週間~数年かけて発症する(気がつく)こともあります。
最初のうちは仕事の行き詰まり感に悩まされたりし、不眠などの体調不調や考えがまとまらないといった状態が続くようになり、さらに、そういう自分に嫌気が差し、自信が持てなくなり落ち込んだ気分になります。
最初は自分に向いていた感情が、次第に周囲の人たちが悪口を言ったり、馬鹿にしているような気がするなど、不調の原因を他人に求めてしまう被害妄想のような感覚に陥ることがあります。

症状は人によって異なりますが、早期発見、早期治療を行うほど回復は良好となりますので、いつもと違うという違和感があれば、早めに専門医にご相談下さい。

もの忘れ(認知症)

軽い「もの忘れ」は中年以降には誰にでもあります。
人の名前を思い出せなかったり、うっかり約束を忘れたり、財布の置き場所がわからなくなり家中を探したり、と誰でも身に覚えがあるはずです。そして、「もしかして呆けてきたのではないか」と心配になります。

しかし、もの忘れの多くは生理的な老化現象によるもので、皆さんが心配される「認知症」とは異なります。

それでは「生理的なもの忘れ」と「病気的なもの忘れ」はどう違うのでしょうか?
簡単に言うと「食事の内容を忘れる=生理的なもの忘れ」で「食事をしたことを忘れる=病的なもの忘れ」といえるでしょう。
もの忘れ(認知症)を引き起こす病気にはさまざまな種類がありますが、大きくは次の3つに分けられます。

  1. 神経細胞が壊れたりして起こる認知症(アルツハイマー病、レビー小体病、ピック病など)
  2. 脳血管障害が原因で起こる認知症(脳梗塞、脳出血など)
  3. 脳腫瘍、感染症、その他の疾患(うつ病、糖尿病、甲状腺機能障害、高血圧など)が原因で起こる認知症 「気分の落ち込み」やそれによる不調が2週間以上続く。

3番目の認知症はその原因となる病気が治るに伴って症状が消えていくことも多く、認知症で最も多いアルツハイマー病に関しても、初期の段階として軽度認知障害や加齢関連認知低下という病態があり、この段階でアルツハイマー病を診断することは、その後の治療の広がりが期待できます。 もの忘れを単に老化と放置せず、専門医による鑑別を受けることが大切です。